モーラーシステム(モーラー奏法)は、
体の自然な動きに従ってスティックを操る、ということがよく考えられたテクニックです。
グラッドストーンテクニックだと、スティックがきれいな扇形を描くのに対し、
モーラーシステムではスティックがまずグリップ側から動き始めるため、
一見グニャグニャした感じに見受けられます。
しかしこれは、体幹からの力の流れを波のように伝えるための効率のよい手法です。
また、グラッドストーンテクニックがひとつの打面での演奏(スネアのみ、など)に
適しているのに対し、モーラー奏法では、たとえばスネアからタムに移動するときなどの「楽器の移動」の動きに対し、非常に適した奏法です。
しかしながら、グラッドストーンテクニックが音符を正確に操るのに適しているのに対し、モーラー奏法ではスティックが動き始めるのがワンクッション遅れるため、
タイミングが甘くなってしまう傾向があります。
そのため、正確な演奏を身に付けるまでに修練が必要となります。
体幹からの動きのため、躍動感を表現しやすいのも、この奏法の特徴です。